【ボーン・コレクター】無料動画・見逃し配信!ネタバレ

テレビ東京の午後のロードショーで放送された1999年のアメリカ合衆国の映画「ボーン・コレクター(The Bone Collector)」のあらすじやネタバレ、キャスト・原作情報や無料動画や見逃し配信のノーカット無料視聴方法や再放送のことなどについて紹介したいと思います。

気になる番組は何回も見たいし、TVer(ティーバー)やGYAO!(ギャオ)、加入者の多いHulu(フールー)やNetflix(ネットフリックス)など、どういったサービスで観れるんだろう?って気になりますよね?

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映画「ボーン・コレクター」のあらすじ・ネタバレ

ニューヨーク市警のリンカーン・ライム(デンゼル・ワシントン)は、全米でも有数の犯罪捜査官だったが、4年前の事故で大けがを負い、今は生命維持装置につながれたままの寝たきりの状態だ。全身で動くのは手の指が一本と肩から上だけ。セルマ(クイーン・ラティファ)に世話されながら生きているが、ライムは延命措置はいらないと安楽死を希望していた。そんな中、タクシーで連れ去られた夫婦のうち、夫が変死体で発見されるという事件が発生。現場には奇妙な遺留品が多数残されていて、市警はこの謎多き殺人事件解決のため、ライムに協力を求める。ライムは死体発見現場に最初に到着したパトロール警官のアメリア・ドナヒー(アンジェリーナ・ジョリー)の現場鑑識能力を高く評価し、アメリアも捜査チームに加わる。ライムたちは証拠を分析し、犯人のメッセージの解読に成功。行方不明となっている夫人の居所を突き止め捜査班を救出に向かわせる。しかし、間に合わず、夫人を生きて救出することはできなかった。ライムは自分の代わりに、現場にいるアメリアに無線で指示を出しながら現場を調べさせることに…。現場に残されていたのは小さな木片と毛髪のようなもの、そして血の付いた骨…。これらの証拠を分析し犯人のメッセージを解読しようとする捜査チームだったが、第2の事件は既に始まっていた…。

出演者
デンゼル・ワシントン(リンカーン・ライム)[声]小山力也、
アンジェリーナ・ジョリー(アメリア・ドナヒー)[声]石塚理恵、
エド・オニール(ポーリー)[声]宝亀克寿、
クイーン・ラティファ(セルマ)[声]喜田あゆ美

映画「ボーン・コレクター」のネタバレ

ニューヨークで深夜、トンネルの工事現場で明らかに他殺とみられる遺体が発見され、辣腕の科学捜査官リンカーン・ライム(デンゼル・ワシントン)が派遣された。リンカーンは重要な証拠を採取する前に現場を荒らされたくないがために自分以外の捜査官を全て遺体発見現場から遠ざけ、一人狭いトンネルの奥に潜り込んで行った。瓦礫の下敷きになっていた遺体の顔を見ると、リンカーンは驚愕した。そこに横たわっていたのは自分の遺体で、驚愕のあまり硬直している間にトンネルの上から重い金属製のパイプが降ってきた。

リンカーンは血圧の異常な上昇を知らせるサイレン音で目覚めた。リンカーンは自分の首の骨が砕かれた事故の夢を見ていたのだ。リンカーンが目覚めた事に気付いた住み込みの看護師セルマ(クイーン・ラティファ)はリンカーンの首の周りの汗を拭き朝の水分補給をと言うとリンカーンはウォッカを要求した。セルマは当然のようにその要求を拒否し、リンカーンは畳み掛けるように俺の遺産は全て君に残すように遺言状を書いたのにと言うと、セルマもまた興味無いと無下に言い放った。ちょうどそこにリンカーンの馴染みの医師が訪れ、今再生医療も日進月歩で進歩しているから考えを改めろ、と説得を始めた。だがリンカーンは俺の体で自由に動くのは左手の人差し指と首から上だけで、背骨に溜まる水の量も日増しに増え、今度大きい神経の発作が起きれば確実に植物状態になる、それは嫌だから俺の頼みを聞いてくれ、と医師に強く訴えた。リンカーンは馴染みの医師バリー・リーマンに「もし植物状態になれば生命維持装置は絶対につけないこと、尊厳死を」と頼んでいたのだ。バリーはその頼まれごとをされて以来、リンカーンを死なせたくないため苦しみ続けていた。

その頃、富豪のルービン夫妻がニューヨークの空港に降り立ち、迎えに来ているはずの車が来ていないことに憤慨しながらも空港前で客待ちをしていたタクシーに乗り込んだ。夫婦は旅の疲れから行き先を運転手に伝えるとすぐにそのまま眠りに落ちた。明け方に夫人がタクシーの中で目を覚ますと、彼女はすぐにタクシーが告げたのとはまったく違う地区を走っていることに気付き、慌てて夫を起こした。パニックになった夫婦は客席と運転席の間を仕切る強化ガラス戸を叩き、すぐに車を止めるように要求したが運転手は無言で取り合わず、車を走らせ続けた。夫が走行中である事にも関わらず客席のドアを開けようと試みるが、ドアの取っ手には刃物が取り付けられ開けられないようになっていた。

ニューヨークのアパートでNY市警(NYPD)のアメリア・ドナヒー巡査(アンジェリーナ・ジョリー)が仕事のための身支度を整えていた。そこへシャワーを浴び終わった恋人が浴室から出てくると彼は彼女に結婚の意志を尋ねたが、アメリアは結婚できないと答えた。彼女はかつて拳銃自殺した現職警察官の父親の死を目の当たりし、心に深い傷を負っていた。アメリアは明日、パトロールから少年課に移ることになっていた。パトロールの最中同僚達と露店で買ったホットドッグを頬張っていると彼女に無線連絡が入り、貨物鉄道構内で少年が何かを発見したとの通報が入ったと連絡があった。アメリアはすぐさま現場に急行し、土砂に埋められ顔と骨が剥き出しになった指だけが垣間見える遺体を発見した。遺体のすぐ側の線路内には犯人が残したと思われる遺留品が置かれ砂の上には犯人のものと思われる足跡が残されていた。アメリアはすぐさま遺体を発見した少年に頼んで使い捨てカメラを買いに走らせ、遺留品の散乱を防ぐために貨物列車の走行を止めさせた。アメリアは全ての証拠物件を写真に収め、砂の上に残された足跡はサイズがすぐに判るように隣に一ドル札を並べて撮影した。

マーフィー本部長の指示で殺人課のポーリー・セリート刑事とケニー・ソロモン刑事が不可解な遺体遺棄事件の捜査に協力を求めにリンカーンのアパートにやってきた。リンカーンは富豪のルービン夫妻が誘拐され夫は殺害、骨が剥き出しになった夫の指には夫人の結婚指輪が嵌められていたことを聞いただけで、ルービンを殺害した犯人から夫人の身代金を要求するだろうと証拠品も見ずに、気のない見立てを下した。だがリンカーンは、発作の後でアメリアが撮影した証拠写真の数々を見ていくうちに単純な身代金目的の誘拐事件ではなく、証拠写真の数々からアメリアのずば抜けたセンスの良さに気づいた。リンカーンはすぐさま、アメリアを捜査チームの一員にすることを要求した。リンカーンが退いた後のポジションについた石頭のハワード・チェイニー警部を説き伏せ、捜査に必要な機械と人員をリンカーンのアパートに配置させた。リンカーンは既にこれは同一犯により連続殺人事件の序章だと気付いていたのだ。そして犯人が残していった手掛かりから、どうやらルービン夫人は「11月9日午後4時」まではどこかで生きていそうだった。

翌日、少年課転属のための講習を受けているアメリアの元に殺人課のソロモン刑事が訪れ、昨日の遺体遺棄事件の捜査に協力を要請した。アメリアは今日からもう少年課所属だからと断ろうとするが、リンカーンは証拠写真の数々からアメリアの天賦の才を褒め称え、証拠物件からルービン夫人の監禁場所を割り出したことを伝えると渋るアメリアに科学捜査官の制服を着せて現場に急行させた。アメリアも含めた警官隊が到着した直後蒸気が地下通路を満たした。ルービン夫人はガスその他を含めたパイプを通すための地下通路に監禁され、犯人の予告どおりに4時に高熱の蒸気を浴びて絶命した。

その後も青年を鼠の餌食とし、老人と孫娘を桟橋の近くの水中に沈めて柱に縛りつけ、タクシー監督官を殺すなど犯行はエスカレートするが、他に最近12ヶ月に起きた未解決事件もタクシー運転手に化けた犯人の仕業だった。犯罪実話を著した書物「ボーン・コレクター」の挿絵の通りに事件が引き起こされたことをアメリアは知る。チェイニーをはぐらかして桟橋の近くでアメリアが認識番号からリンカーンが標的だと知った頃、犯人がついにリンカーンの前に現れる。その際、殺人鬼とは知る由もなく応対したセルマは腹部を抉られ、再訪したチェイニーは頸動脈を切り裂かれて殺害される。意外にも犯人の正体はリンカーンの生活を支える医療機器の調節に携わる医療技師リチャード・トンプソンであり、かつて6件の殺人事件で証拠を捏造して「汚い虫ケラども」と看做す無実の人間を陥れたことをリンカーンに暴かれ、逆恨みの犯行に走った科学班調査員の元警察官マーカス・アンドリューズだった。犯した罪を否定し冤罪だと主張して自身を魔女狩り捜査の犠牲者と言い、すべてはリンカーンの所為だと恨みつらみをぶつける。身動きが取れないながらもベッドで挟んでマーカスの右手を潰し、何かを呟いて注意を引き頸部に噛みついて出血させるリンカーンに激怒し、ナイフを振り上げるも4発の銃声が部屋に響き渡る。リンカーンが危ないと悟り、必死に駆けつけたアメリアがマーカスを射殺した。

季節は冬となり、クリスマスを祝う友人たちがリンカーンの部屋に集う。車椅子に乗って生活できるほどに回復したリンカーンと彼に寄り添うアメリア、そこに命は長くないと縁を切ったはずの姉の一家が来訪しリンカーンは思いがけない歓びを感じる。姉ジャニーンとその夫、姪である姉の娘キミーをアメリアが呼んだと知りリンカーンは驚きつつも幸福に包まれていた。

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映画「ボーン・コレクター」について

「ボーン・コレクター」は、1999年のアメリカ合衆国の映画。原作はジェフリー・ディーヴァーの同名小説。

脊椎不随となったリンカーンが安楽椅子探偵として相棒のアメリアとぶつかりながら事件を解決していく。監督はフィリップ・ノイス、主演はデンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリー。

テレビドラマ化
2020年にNBCが10回シリーズのテレビドラマ『en:Lincoln Rhyme: Hunt for the Bone Collector』を製作したが、1シーズンのみで打ち切り。 日本ではWOWOWが『リンカーン 殺人鬼ボーン・コレクターを追え!』のタイトルで放送した。

余談
アンジェリーナ・ジョリーはこの映画で初めて劇場公開作品の主演という役を射止めた。監督のフィリップ・ノイスは既に主演として契約書にサインをしていたデンゼル・ワシントンに、「共演の女優はもう誰にするか決めてある」と言ってHBO製作・放送のTV映画『ジーア/悲劇のスーパーモデル』のテープを渡した。デンゼル・ワシントンも彼女の演技力には「驚愕した。これほど力のある女優が今まで眠っていたなんて信じられない」と語っている。

「デンゼル・ワシントン」について

「デンゼル・ワシントン」は、アメリカ合衆国ニューヨーク州マウントバーノン出身の俳優、映画監督、映画プロデューサー。これまでに2回アカデミー賞に輝いているほか、ベルリン国際映画祭でも2度の男優賞を受賞、さらに舞台では、トニー賞演劇主演男優賞を受賞している。2016年の第73回ゴールデングローブ賞授賞式では、功労賞にあたるセシル・B・デミル賞を受賞した。アメリカを代表する映画俳優の1人であると同時に、映画監督、舞台俳優でもある。

官僚、将校、ジャーナリストなど、硬派なインテリで真面目な性格の人物を多く演じている。スパイク・リーとの3度目のコラボレーション作『ラストゲーム』(He Got Game)では、妻を殺した罪で服役中の元バスケットボールプレイヤーという役柄を演じたが、彼自身もセミプロ級の腕前である。身長は185cm。

1989年、『グローリー』で、アカデミー助演男優賞を受賞。アカデミー主演男優賞に最も近い黒人俳優として、その日はいつかと期待されていたが、遂に2002年『トレーニング デイ』で、アフリカ系アメリカ人ではシドニー・ポワチエに続いて2人目となるアカデミー主演男優賞を受賞した。

幼少期
デンゼル・ワシントンはニューヨーク州マウントバーノンで生まれた。姉ロリース(Lorice)と弟デイヴィッド(David)がいる。母親のレニース(Lennis)は、ジョージア州で生まれてニューヨーク州ハーレムで育った。

母親のレニースは美容師として2つの美容院を経営すると同時に、夫(デンゼルの父)が担当する教会でゴスペル歌手の仕事を行うという、当時(1950年代)としては比較的珍しい職業婦人だった(1950年代のアメリカでは、結婚して子供が生まれてからも働く女性はあまり多くなく、ましてや自分の会社や店を自分で経営する女性は更に少なく、黒人層では皆無に近かった)。父親のレヴランド・デンゼル・ワシントン・シニア(Reverend Denzel Washington Sr.)はヴァージニア州デルウィン生まれで、ペンテコステ派の牧師で二つの教会を担当すると同時に、水道局と地元のデパート「S.Klein」でも働いていた。

人種差別が合法であった公民権法施行前のアメリカにおいて、夫婦は黒人であるが故に理不尽なあつかいを受ける辛酸を舐めてきたため、3人の子供達には可能な限り良質な教育を授けようと必死だった、と後に語っている。両親が多忙で家を空けていることが多かったため、デンゼルを含む3人の子供達は学校が終わってから両親が迎えに来るまでの間や週末は、ボーイズ&ガールズクラブ(アメリカの青少年育成団体)に預けられ、デンゼルはそこで多くのスポーツに熱中した。また、母親が経営する美容院でも多くの時間を過ごし、デンゼルはそこで話を作る面白さを客から学んだ。

デンゼルが14歳の時に両親の関係は悪化したが、デンゼル自身と姉はそれぞれ別の全寮制寄宿学校に入れられていたため、両親が離婚した事は暫く後になってから知らされた。デンゼルは、ニューヨーク州マウントバーノンのペニングトン・グリムス小学校(Pennington Grimes Elementary)でグラマー・スクール(grammar school)に通い、そこで様々なスポーツを嗜んだ。反抗期は酷く、彼の行いの粗暴さを心配した母親は、デンゼルの数人の友人が少年院に送られたのを見届けた後、デンゼルを更生させるために全寮制の寄宿学校に送った。母親が、デンゼルの成長期に映画を観る事を禁じていたのも、少しでも暴力的な状況から遠ざけるためであった。デンゼルの粗暴な振舞いは、数人の友人が少年院に送られた事を目の当たりにした事や、母親からの教育的指導のおかげで後に改善している。

青年期
デンゼルは子供の頃、テキサス州の工科大学(Texas Tech University)に行きたいと思っていた。この事についてデンゼルは、「私は子供の頃マウントバーノンのボーイズクラブで多くの時間を過ごして、レッド・レイダース(Red Raiders)というチームを作った。だから高校生の時、私が子供の頃所属していたチームと似たようなユニフォームを使っている、レッド・レイダースと呼ばれていたテキサス州ラボック(Lubbock)の大学に行ってみたかったんだ」と語っている。

高校卒業後デンゼルは、オクラホマ州立大学に通ったものの、興味をかきたてるものに出会う事が出来ずにすぐに中退した。改めて1977年にニューヨーク州フォーダム大学(Fordham University)のドラマ及びジャーナリズム学部に編入し直すまで、ベビーシッターを含む様々な職を経験し、その経験は後の俳優人生において役作りに大いに役立った、と語っている。

大学バスケットボールでは指折りの強豪校であるフォーダム大学で、P・J・カーリシモコーチ指導の下でバスケットボールにも熱中し、今でも時間を見つけるとバスケットボールを楽しんでいる。フォーダム大学でサマーキャンプに参加し、そこで寸劇の演出を担当した事から演技に強い関心を寄せ、ジャーナリズムの学位を取得して卒業後、サンフランシスコのアメリカン・コンサバトリー・シアター(American Conservatory Theater)で1年間演技を学んだ。

初期のキャリア
最初にプロの俳優として表舞台に立ったのは、テレビ映画『ウィルマ』であり、映画デビューを果たしたのは1981年の『ハロー、ダディ!』であった。彼にとって最初の転機となったのは、病院を舞台とした医学ドラマで1982年から1988年まで放送された、『St. Elsewhere』である。彼はこのシリーズに約7年間出演し、誠実で有能な若い医師役は注目される大きな理由となった。

テレビや映画、あるいは舞台でいくつかの端役をこなした後、1987年にリチャード・アッテンボロー監督作の反アパルトヘイト活動家スティーヴ・ビコの人生を描いた伝記映画『遠い夜明け』でビコを演じ、初めてアカデミー助演男優賞にノミネートされた。1989年、『グローリー』で冷静でありながらも反抗的な元奴隷を演じて、アカデミー助演男優賞を授与された。同じ年には『女王と祖国のために』で、カリブ海生まれでイギリスの落下傘部隊に戻った男、ルーベン・ジェームスを演じた。

1990 – 2000年代
1990年夏、デンゼルは映画『ミシシッピー・マサラ』で、デメトリウス・ウィリアムズを演じた。1992年、過去最高の批判と絶賛を同時に浴びたスパイク・リー監督の伝記映画『マルコムX』でタイトルロールを演じた。彼が演じた攻撃的な黒人解放闘士の役は、彼にオスカーノミネーションをもたらした。

映画『マルコムX』は、一夜にして彼のキャリアを大きく変え、アメリカで最も尊敬されるべき俳優にまでのし上げた。後に同じような役のオファーを受ける事になるが、型にはまった俳優にはなりたくなかった彼は、キング牧師のような役を断っている。翌1993年、エイズを扱った映画『フィラデルフィア』で、違う意味で自身のキャリアを危ぶませる役、ゲイ嫌いの弁護士ジョー・ミラーを演じている。この映画では、やはりゲイのエイズ患者というリスクの大きい役を演じたトム・ハンクスと共演している。評論家は、これまでのキャリアを犠牲にする覚悟で果敢に難役に挑戦したことを絶賛している。1990年代初頭から中期にかけては、評価の高かったスリラー映画『ペリカン文書』と『クリムゾン・タイド』、コメディ映画では『から騒ぎ』、そしてロマンティックドラマ映画では『天使の贈りもの』などに主演、ハリウッドの先導役という地位を固めていった。

主役級の人気黒人俳優として、予防的に配慮しなければいけない部分もあるようで、1995年の映画『バーチュオシティ』では、共演の白人女優ケリー・リンチとのキスシーンを断っている。インタビューでケリー・リンチは、「異人種間の恋愛シーンに何の問題も無いので、キスシーンに抵抗はなかった」と答えたが、デンゼルは、「白人男性をターゲットにした映画で白人女性とキスをすれば、あっという間に攻撃の対象にされるからしたくない」と答えている。ケリー・リンチは更に、「それはとても恥ずかしい事で、いつか世界が異人種間の恋愛にこだわらなくなる事を待っている」と答えた。似たような状況は、映画『ペリカン文書』でジュリア・ロバーツとの間にも起こっている。ジュリア・ロバーツは、「いつこの人とキスが出来るのだろう」と撮影の間中ドキドキしていたが、「ハグと頬へのキスで終わってしまい、がっかりした。何の問題もないのに」とインタビューで答えている。

こうした白人女優とのキスを断る姿勢は、1989年の映画『刑事クイン/妖術師の島』から始まっている。この映画では唯一、共演のミミ・ロジャースとキスをしたが、試写で黒人女性からのブーイングを浴びたため、編集に頼んでカットしてもらっている。後にデンゼルは、『ニューズウィーク』誌でのインタビューで、「映画の中で黒人女性とカップルを演じることは少ない、けれど彼女たちは大切なファンだ」と答えている。しかし1998年、スパイク・リー監督作『ラストゲーム』では、ミラ・ジョヴォヴィッチとのセックスシーンに挑戦している。

1999年映画『ザ・ハリケーン』で、3つの殺人事件で告発されて約20年間獄中で過ごしたボクサー、ルービン・カーターを演じ、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。この作品については、史実との整合性について新聞その他マスコミで論争が巻き起こったものの、2000年のゴールデン・グローブ賞とベルリン国際映画祭における銀熊賞を受賞した。

テレビ映画『奇跡のランナー/ロレッタ・クレイボーン』の終盤に出演しており、ロレッタ・クレイボーンに、彼女の勇気を讃えアーサー・アッシュ・イーエスピーアイ(Arthur Ashe ESPY)賞を授けている。

2000年 – 2010年
2000年、ディズニーフィルムの『タイタンズを忘れない』に主演し、この映画はアメリカ国内だけでも1億ドルを叩き出した。2001年、『トレーニング デイ』でアカデミー主演男優賞を受賞。この映画では、ロサンゼルス市の汚職警官を演じる。「オスカーを獲得したのは、前作『ザ・ハリケーン』で演じた役柄とは180度違う役でも正々堂々と潔く演じたからだ」と批評家は絶賛した。

その後2002年、健康保険の問題を鋭く突いた社会派の映画『ジョンQ -最後の決断-』で主演し、最初の監督作品『アントワン・フィッシャー 君の帰る場所』では助演を務めた。そして、2003年から2004年にかけてはサスペンス映画『タイムリミット』、『マイ・ボディガード』、『クライシス・オブ・アメリカ』で主演を務めた。2006年3月には、立てこもりの銀行強盗犯を描いた『インサイド・マン』が公開され、監督は再びスパイク・リー、共演はジョディ・フォスター、クライヴ・オーウェンである。同年11月には、トニー・スコット監督との3度目のコラボとなる『デジャヴ』が公開された。

そして2007年には、『バーチュオシティ』に続いてラッセル・クロウと映画『アメリカン・ギャングスター』で共演、4630万ドルのオープニングセールスを記録し、キャリア史上最高のオープニング成績を残した。監督第2作の『グレート・ディベーター 栄光の教室』では、主演も務めた。2009年には、ウォルター・マッソー主演で製作および公開された1974年のスリラー映画『サブウェイ・パニック』のリメイク『サブウェイ123 激突』でジョン・トラボルタと共演、このときは、『デジャヴ』に続いてトニー・スコットがメガホンを執った。

2010年に入ると、映画ではアクション作品への出演が増える。SF映画『ザ・ウォーカー』では、ゲイリー・オールドマンと共演、監督にはアルバート・ヒューズを迎えて製作された。同作品は、2009年2月にニューメキシコ州で撮影が開始され、2010年1月15日に全米公開された。次に、アクション映画『アンストッパブル』では、再びトニー・スコット監督とタッグを組み、共演には若手俳優のクリス・パインを迎えている。

2011年 –
2012年には、アクション映画『デンジャラス・ラン』で若手俳優ライアン・レイノルズと共演し、久々の悪役を演じている。そして2013年、映画『フライト』でも少し狡猾な操縦士を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、3度目のオスカーかと囁かれたものの、受賞は逃した。その後、『イコライザー』にて悪役から正義感あふれる役が復活した。2014年、サン・セバスティアン国際映画祭でドノスティア賞(功労賞)を受賞した。

2016年には、監督、製作を務めた『フェンス』でアカデミー主演男優賞と、プロデューサーとしてアカデミー作品賞にダブルノミネートされた。その翌年の2017年には『ローマンという名の男 -信念の行方-』により2年連続でアカデミー主演男優賞にノミネートされた。

2021年に『マクベス』によって7度目となるアカデミー主演男優賞ノミネートを受けた。

2022年7月にはアメリカ合衆国で文民に贈られる最高位の勲章である大統領自由勲章を受章。ただし新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出ていたため、7月7日にホワイトハウスで開催された授賞式には出席できなかった。

舞台俳優として
2005年、シェイクスピア作『リチャード三世』(1990年上演)以来、15年ぶりに舞台俳優業に再挑戦し、同じシェイクスピア作の『ジュリアス・シーザー』でブルータスを演じた。2010年、『Fences』で主役のトロイ・マクソンを演じ、トニー賞演劇主演男優賞を受賞した。

演技
デンゼルは、トレーラーハウスでコーヒーを飲んだり、葉巻を吸っていたりする時は普段の彼だが、一歩外に出ると、撮影外でも役者になりきってしまう。そのため、映画『マイ・ボディガード』(Man on Fire)の最初の頃、ダコタ・ファニングを助手席に乗せて撮影外で運転をしても、彼は正面を向いて一言も彼女と話さなかった。彼女のほうは、もっぱら台本か新聞を読んでおり、「『アイ・アム・サム』でのショーンもそうだったから、気にしなかった」と語っている。

私生活
1983年、映画『ウィルマ』のセットで出会った、女優のポーレッタ・ピアソン(現在はポーレッタ・ワシントン)と結婚。ワシントン夫婦は4人の子供を授かっており、1984年7月28日生まれの長男ジョン・デヴィッド・ワシントンは、2006年の5月にプロフットボールチーム、セントルイス・ラムズと雇用契約を交わしている。彼は、モアハウス大学にフットボールの特待生として学費全額免除で通っていた。2020年公開の「テネット」では主演俳優を務めた。1987年11月28日生まれの長女カティアは、名門エール大学に入学した。双子のオリヴィアとマルコム(マルコムXからの命名)は、1991年4月10日生まれである。マルコムは現在ペンシルベニア大学に通い、フットボールをプレイしている。オリヴィアは女優志望で、ニューヨーク大学に通っている。1995年にワシントン夫妻は、南アフリカでデズモンド・ツツ司教同席の中で夫婦の誓いを改めて行った。

デンゼルは家族とともに、テキサス州サン・アントニオ(San Antonio, Texas)のブルック陸軍病院(Brooke Army Medical Center)に入院している兵士達を慰問に訪れた。後日デンゼルは、入院している兵士達の家族を宿泊させるための小さなホテル、フィッシャー・ハウスズ(Fisher Houses)に寄付をしている。2006年10月、デンゼルは、『ハンド・トゥ・ガイド・ミー(Hand to Guide Me)』(邦題『僕が大切にしている人生の知恵を君に伝えよう』)を著し、ベストセラーになった。本の内容は、著名な俳優・政治家・スポーツ選手などが、子供時代のどんな体験が自身の職業を決める上でどう働いたのかを説いたものである。その本はアメリカの子供たちのために活動する協会から出版され、デンゼルは講演を依頼された。

デンゼルは俳優を志す前、大学卒業後の進路について迷っていた時期に、亡父と同じく牧師になりたいと考えた事もあり、現在でも敬虔なクリスチャンとしても知られている。

また2007年5月20日、モアハウス大学から名誉博士号を授与されている。

黒人俳優として
アメリカにおける人種差別を背景に、黒人俳優が長年「型にはまった知能の低い悪党」という役柄か、エンタテイナー、あるいは家族で観られるコメディー映画にしか出演の機会を与えられなかったハリウッドにおいて、デンゼルは極めて独特な地位を築いた事で知られている。

『エリン・ブロコビッチ』でアカデミー主演女優賞を受賞したジュリア・ロバーツは、「ニューズウィーク」誌の取材に対して、「デンゼルなら、オスカーを3つもらっても少ないぐらい」と評している。またデンゼルとは『グローリー』『戦火の勇気』『マーシャル・ロー』と3度タッグを組み、双方とも全幅の信頼を寄せている映画監督のエドワード・ズウィックも、「白人俳優を主役に想定した脚本ばかりが映画化される」と同誌のインタビューで答えている。「黒人らしい」お定まりの脇役しか演じる機会を与えられないというのが、アメリカにおいての黒人俳優の状況・問題でもあるが、その中でデンゼルは、誇り高い黒人、目的を持ち強く冷静に生きていく男の姿を多彩な役柄で演じ分ける事でハリウッドの伝統に抵抗し続けている。1984年デンゼルは、第二次世界大戦中の米陸軍における黒人兵士間の対立を描いた映画、『ソルジャー・ストーリー』に出演した。黒人コメディアンのエディ・マーフィがハリウッドで大受けしていた時代に、デンゼルはコメディーだけが黒人俳優の仕事ではないと主張するため、敢えて人種間の緊張を引きずる作品に出ていたのである。

1970年代後半、まだ駆け出しの新人俳優だったデンゼルは、大先輩で大親友、師匠でもあるシドニー・ポワチエに、「君のキャリアは最初の3〜4本の出演作で決まる。自分がいいと信じる役が来るまで待つべきだ」とアドバイスされ、言われるがままにいくつかの「黒人らしい」役を断った。その後、社会派の伝記映画『遠い夜明け』のスティーヴ・ビコ役に抜擢され、オスカー俳優のケヴィン・クライン相手に一歩も引けを取らぬ見事な演技を披露して、社会派の黒人俳優だと世間に認識され、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。現在デンゼルは、他の多くの黒人俳優のようにコメディアンやエンタテイナー、あるいは名悪役として認知されるのではなく、社会派の名優としての地位を完璧なまでに築いた。

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