テレビ朝日で放送されているアニメ映画「天気の子」の見逃し配信、ノーカット無料フル動画を無料視聴する情報や再放送のこと、あらすじやネタバレについてなどを紹介したいと思います!
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目次
映画「天気の子」のあらすじ・ネタバレ
2021年(令和3年)6月。神津島で暮らす高校1年生、森嶋 帆高(もりしま ほだか)は家出し、フェリー「さるびあ丸」で東京にやって来た。
ネットカフェで暮らすが、アルバイトにも就けないまま所持金ばかり減っていき、フェリーで知り合ったライターの須賀 圭介(すが けいすけ)の元を訪ねる。
圭介は姪の夏美(なつみ)と2人で雑誌に記事を寄稿する零細編集プロダクションを営んでいた。
帆高は住み込み・食事付きの条件に惹かれ、そこで働き始める。
その夏の関東地方は、異常気象により長期間にわたって雨の日が続いており、その中、一時的な晴天を呼ぶ「100%の晴れ女」の都市伝説が流れていた。
帆高はある事件で天野 陽菜(あまの ひな)という少女と出会う。
彼女こそが「晴れ女」であり、祈ることで短時間、局地的だが確実に雲の晴れ間を作る能力を持っていた。
陽菜は小学生の弟、凪(なぎ)と暮らしており、2人が経済的に困っている様子をみた帆高は、晴れ女の能力で商売をすることを提案し、依頼用ウェブサイトを作成した。
「晴れ女」のサービスは次第に評判を呼び、順調に仕事を増やして行った。
しかし、神宮外苑花火大会を晴れにする依頼の際、テレビに映ってしまい依頼が殺到したため、休業することにした。
帆高には家族により捜索願が提出されていたことと、陽菜と出会った時の事件での拳銃の発砲が警察に知られたことから、圭介のもとに刑事が捜査に訪れた。
これを機に帆高は圭介から退職金を渡されて事務所を追い出されてしまった。
それとほぼ同時に、子供2人だけの天野家に児童相談所が介入することが重なったため、互いが引き離されることを恐れた陽菜と凪とともに、帆高は3人で逃げ出した。
逃避行中に異常気象が進み、夏でありながら雪が降っていた。
3人はラブホテルに泊まり、インスタント食品やカラオケで一夜を過ごす。
一方で能力の代償としてなのか、陽菜の身体は薄く透明になり始めていた。
そして「天気の巫女が人柱として犠牲になる」という伝承のとおり、夜が明ける前に陽菜の身体は消失してしまった。
翌朝、ホテルの部屋に警察が踏み込み、凪は児童相談所へ、帆高は警察署へと送られるが、2人ともそれぞれ脱走し、陽菜が「晴れ女」としての能力を得た代々木の廃ビルへ向かう。一方、東京は数か月ぶりの晴れとなった。
警察が追跡している中、夏美、圭介、凪の3人の助けで廃ビル屋上の神社にたどり着いた帆高が祈りながら鳥居をくぐると、彼の身体は遥か上空へとワープし、積乱雲の上に囚われていた陽菜を救い出すことに成功した。
2人が神社の場所に戻されると同時に再び雨雲が東京を覆った。
帆高は再逮捕された後、高校卒業までの期間の保護観察処分を受け、神津島に戻された。
陽菜救出後に降り始めた雨は2年半の間、止むことなく続き、東京の荒川、江戸川下流域の広範囲が徐々に水没していった。
2024年(令和6年)の春、帆高は大学進学を機に東京本土へと再び渡り、陽菜と再会を果たしたのだった。
◇声の出演
森嶋帆高…醍醐虎汰朗
天野陽菜…森七菜
須賀夏美…本田翼
天野凪…吉柳咲良
安井刑事…平泉成
高井刑事…梶裕貴
立花冨美…倍賞千恵子
須賀圭介…小栗旬
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「天気の子」について
「天気の子」は、新海誠監督による日本のアニメーション映画作品。2019年7月19日公開。
キャッチコピーは「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」。
前作『君の名は。』から3年ぶりとなる、新海の7作目の劇場用アニメーション映画。
離島から東京に家出してきた少年、帆高と、“祈るだけで晴れにできる“力を持つ少女、陽菜が出会い、運命に翻弄されながらも自らの生き方を「選択」していくストーリー。
2018年12月に製作発表会見で主演、メインスタッフと公開日を発表した。
翌年4月9日には予告編が公開。
完成したのは公開直前のため、試写会は一切行われなかった。
東宝配給作品史上最大級の359館448スクリーンの規模での公開となり、初日には午前0時に世界最速上映が行われ、午前9時に全劇場で一斉に初回が上映された。
9月14日には劇場パンフレットの第2弾が発売された。
9月27日から4D版(MX4D、4DX)が上映開始された。
興行成績
日本では、2019年(令和元年)7月19日に全国公開され、7月20日から21日の観客動員数で初登場1位となった。
最初の3日間で動員数は115万9020人、興行収入は16億4380万9400円に達し、前作の『君の名は。』対比128.6パーセントを記録した。
週末の全国映画動員ランキングで3週連続で1位を獲得した。
公開から8月21日までの34日間の興行収入が100億円を突破し、2作連続100億円を突破するのは日本の映画監督では宮崎駿に続く2人目の達成となった(通算2作なら本広克行を加えて3人目)。
公開から10月1日までの75日間の観客動員数が1000万人を突破した。
10月21日までには、累計観客動員数は1027万人を超え、興行収入は137億円を突破し、日本で公開された映画で歴代興収は12位となった。
さらに11月11日までに累計観客動員数は1042万人を超え、興行収入は139億円を突破している。
2020年1月28日に日本映画製作者連盟より2019年の映画興行収入が発表され、本作が2020年1月の時点で140億6000万円で邦画・洋画通じてトップとなったことがわかった。
「天気の子」の主な登場人物・キャスト※ネタバレ含む
森嶋 帆高 声:醍醐虎汰朗
本作の主人公。神津島高校1年生。
本作冒頭で東京本土にフェリーで家出した。
家出の理由について劇中では詳しい説明は無い。
家出中であり身分証を提示できないことからアルバイトに就けず、ネットカフェに泊まる日々が続いていた。
そんな中、大量の銃器所持で逮捕された犯人・柴田が捨てたとみられる拳銃を拾った。
その後、職を探していた陽菜を風俗バイトに勧誘した木村とトラブルになり、衝動的に発砲したが弾は外れた。
圭介に雇ってもらい食と住を確保し、順風満帆な生活を送っていたが、発砲したところが防犯カメラに映っていたことと家族が行方不明届を提出したことの2つの理由で警察に追われることになった。
特徴/性格
家出時の持参品として自身と同齢の家出少年が主人公の小説『キャッチャー・イン・ザ・ライ(村上春樹訳)』を携えており、蒸らし中のカップヌードルの重しに使用していた。
なお、カップヌードルは3分待たずに2分で食べる習慣がある。
外出時は常に黄色のサコッシュを身に着けており、拾った拳銃もこの中に入れて持ち歩いていた。
MacBookを用いて圭介の雑誌編集の手伝いをしたり、圭介のiPadを用いて「晴れ女」サービスのWebサイトを独力で作成したりする程度のITスキルがある。
何かわからないことがあるとすぐにスマートフォンを介してYahoo!知恵袋に質問し、回答を得ようとする癖がある。
なお、圭介の事務所で雇われている間は、携帯通信料は事務所が支払っていた。
圭介からビールを勧められても突き返してジュースを手に取るなど普段は律儀な性格であるが、陽菜が絡むと法律違反も躊躇しない攻撃的な性格に変貌する。
圭介、陽菜、凪からは「帆高」、夏美からは「帆高くん」、高校の後輩の女子学生からは「森嶋先輩」と呼ばれる。
一人称については、人と話す時は「俺」、モノローグでは「僕」で統一されている。
制作初期の設定
制作初期の企画の段階では中学2年生の設定だった。
天野 陽菜 声:森七菜
本作のヒロイン。8月22日生まれ。中学3年生。
代々木に存する廃ビル屋上に鎮座する小さな鳥居をくぐったことで、局地的な範囲を祈りによって一時的に晴れにする能力を手に入れた。
しかし、その能力を行使するごとに身体が徐々に透明化していく代償を抱えることにもなった。
当初はそのことを自覚しておらず、「100%の晴れ女」業を天職だと考えたほどであるが、後に気象神社の神主が天気の巫女伝承を語る動画を夏美から見せられて気づくことになった。
歌舞伎町のマクドナルドで年齢を詐称してのアルバイト(後に発覚して解雇される)中、お金を使い果たしてひもじそうにしている帆高にビッグマックをおごったことが縁で、彼と知り合うことになった。
帆高に最初に出会った時点では14歳だったが、次の誕生日で18歳になると彼に伝えた。
特徴/性格
髪型は黒髪の二つ結び。普段着として、白のノースリーブのパーカーにホットパンツを着用している。
JR田端駅周辺の高台のアパートの2DKの一室にて弟(凪)と2人で暮らしている。
1年前に母親を病気で亡くしており、母親の形見のブレスレットを、チョーカーに加工して首に付けていた。
自身の住む部屋の装飾品(サンキャッチャー等)を手作りしたり、スナック菓子などのありあわせの食材を上手く用いて料理を作ったりするなど、器用な一面も持つ。
携帯電話、スマートフォンを所持していないため、外部から通話、メール、SNSなどで連絡が取れない。
帆高からは「陽菜さん」もしくは「陽菜」と呼ばれる。
凪からは「姉ちゃん」、圭介、夏美、萌花からは「陽菜ちゃん」と呼ばれる。
制作初期の設定
制作初期の企画の段階では「陽咲(ひなた)」という名前であり、年齢も14歳ではなく18歳。
弟の代わりに妹が2人いる設定だった。
また、祈ると雨雲に晴れ間を作るのではなく、的中率100パーセントの天気予報を行うという設定だった。
実際には天気予報を当てるのではなく、本人が天気を操作していたという種明かしをストーリー後半に入れる予定であった。
天野 凪 声:吉柳咲良
陽菜の弟。小学5年生。
当初は陽菜と一緒に居る帆高に対して嫌な印象を持ったが、陽菜が「晴れ女」のサービスを始めるに際し、早期に帆高と打ち解けた。
また、萌花(圭介の娘)とも初めて会ったその日に仲よくなった。
特徴/性格
恋愛経験の豊富さゆえに小学生らしからぬ大人びた発言をする。
帆高からは「センパイ」、圭介、陽菜からは「凪」、夏美、アヤネ、カナからは「凪くん」と呼ばれる。
須賀 圭介 声:小栗旬
有限会社K&Aプランニングを経営し、雑誌記事の寄稿を生業とする中年男性。
家出中の帆高が船から落ちそうになるところを救い、船内の食堂で食事とビールを奢らせた。
その後、下船時に渡した名刺をもとに訪ねて来た帆高をアシスタントとして採用した。
義母(間宮夫人)に引き取られなかなか会わせてもらえない娘(萌花)との面会のため、「晴れ女」サービスを利用することになった。
特徴/性格
10代の時、地方から家出の形で上京し、そこで知り合った間宮明日花と大恋愛の末に結婚した。
明日花が他界した後も彼女への愛情は深く、彼女との間に生まれた娘の萌花を溺愛している。
仕事ではオカルト雑誌の記事を執筆しているが、迷信などについては馬鹿にしており、読者も自身と同じように記事内容を信じていないという前提で仕事に取り組んでいる。
帆高、陽菜からは「須賀さん」、夏美からは「圭ちゃん」、間宮夫人からは「圭介さん」、萌花からは「パパ」と呼ばれる。
制作初期の設定
制作初期の企画の段階では、雑文ライター兼、気象AI研究者という設定だった。
須賀 夏美 声:本田翼
圭介の姪。大学生。圭介の事務所のバイト従業員。
その妖艶な容姿、圭介を「圭ちゃん」と呼ぶ言動、帆高初対面時に圭介との関係を説明する折に小指を立てたことなどから、帆高に圭介の愛人と勘違いされた。
事務所での勤務と並行して就職活動に勤しんだが、成果は出せなかった。
なお、事件の2年半後に帆高が圭介の事務所を訪れた際に、夏美のヘルメットが置かれており、結局大学卒業後もここで働いていることが仄めかされている。
特徴/性格
バイク運転のスキルが高く、パトカーの追跡をかわすため、タンデム走行のスーパーカブ110で階段を駆け下りる場面も存在する。
父(圭介の兄)とは仲が悪い。
取材時には、相手の胡散臭い話を聴く時も真剣に耳を傾けるなど、聞き上手である。
帆高、陽菜からは「夏美さん」、圭介からは「夏美」、萌花からは「なっちゃん」と呼ばれる。巨乳。
「天気の子」地上波初放送記念!新海誠監督インタビュー
醍醐さんと森さんにお話をうかがいました。お二人ともキラキラしたまなざしで「新海監督は本当に優しくて、素敵な方です!」って言ってました(笑)。
新海:そうですか(笑)。二人はね、なんか本当にキラキラしていますよね。
二人のキラキラした存在感が、作中の主人公たちにも反映されていた気がします。
新海:そうですね。もちろん、二人がキャストに選ばれる前に物語としては完成していたし、Vコンテも出来ていたし。そこで描いている帆高の声、陽菜の声を、オーディションをして探していき、たどり着いたのがこの二人だったんですよね。今振り返ると、もうこの二人以外ではあり得なかったなって思うんですが、選んでいる時はすごく悩みました。ほかにも力のある方は何人かいらっしゃったし、最終的には二人のバランスと組み合わせが大事だと思ったので。どういう二人なら相性がいいかなって確かめながらオーディションをしたので、醍醐くんには陽菜役の候補の七菜ちゃん以外の人ともやってもらったし、七菜ちゃんにはその逆をやってもらったし。そういう意味では、この二人になったことで映画中のセリフが変わった、物語が変わった、みたいなことはないんです。でも同時に、この二人がこの映画にくれた力というのは非常に大きいとは思います。アフレコの最中もまだ作画期間だったので、作画のスタッフも二人に会っていましたし。この二人の声を念頭におきながら、最後の作画の仕上げもしていたんじゃないかなと思います。
キャラクターデザインは『君の名は。』同様、田中(将賀)さんです。今回は主人公の二人をどんなキャラクターとして描きたいと、田中さんと話をされましたか?
新海:僕らも一緒に仕事をするようになって、わりと長いので。今回は、田中さんとそういう言葉のやりとりはしたかなぁ……。脚本会議の段階から田中さんにも一緒に参加してもらっていたので、脚本作業を進めながら陽菜や帆高、その他のキャラクターのスケッチも出してもらっていたんです。それに対して、僕からあまりオーダーはしなかったです。そういう意味では、脚本を読んだ田中さんの中から、生まれてきたキャラクターだったと言えますね。ただ、僕が最初に書いた企画書があって、そこに帆高と陽菜の何となくのイメージは描かれてはいたので、その雰囲気が、ベースにあったとは思います。
企画書の表紙に僕が描いた絵は、映画のポスタービジュアルにとても近い絵でした。ビルの屋上で、帆高と陽菜が空を見ているという絵で、帆高はTシャツにジーンズで黒髪……まあ、普通の子ですけど(笑)。陽菜はパーカーでショートパンツ。そのイメージは最初に描いたイラストの段階からあって、そのイラストの気分を田中さんが上手く具体化してくださったという面もあるかと思います。でも、あまり言葉にしてのやりとりはしなかったですね。
帆高と陽菜は、とても「元気」な主人公という印象が強かったです。何となく新海監督が描く主人公が、作品ごとにだんだん元気になっている気がするのですが。
新海:だんだん元気になっているかぁ……そうかもしれないですね(笑)。僕は常に自分の見たいものを──自分が最初の観客ですから──作っているし、とはいえ、自分だけが見たいものを作っても仕方がないので、「今、みんなはこういうものを見たいんじゃないかな」って自分なりに感じたものを作っているんですよね。そういう意味で言うと、30代に作っていた初期の作品の頃、あの時の自分が見たかったのは、どちらかというと内省的な主人公だったし、少なくとも僕の周りにいるお客さんたちが見たいのは、そういう方向じゃないかという気持ちがあったと思います。
それが、そうだな……2010年代に少しずつ変わってきたという感覚があります。僕だけが変わったんじゃなくて、周囲の観客も変わってきた気がしますね。あとは時代。たとえば『秒速5センチメートル』のようなものを作っていた頃、日本はもう少し安定していたと思うんですよね。何より東日本震災が起きる前でしたし、今ほど気候変動というのも実感するほどではなかったですし。経済状況はなんとなく緩やかに落ちていっているけど、このまま日常がずっと続くんだろうなっていう気分を、多くの人が共有していたのが『秒速~』を作っていた頃でした。だからその頃の僕は、日常の些細な出来事に意味を見出すような物語がいいんじゃないか、と。電車が遅れてハラハラするとか、コンビニに入ってどういう気分になるとか、そういうことこそアニメーションの中で描きたいと思っていたんです。
でも、その後大きな出来事がいくつもあって。特に東日本震災はやはりひとつ、大きな切っ掛けだったと思いますが、自分の中身を見つめるというフェーズが一旦終わって。僕自身が見たいものや描きたいことも、自分の外のこと、自分の隣に誰がいるのかということに、だんだん変わってきたという気はします。
それもあって、主人公も外向きになってきたというか。
新海:はい、ちょっと元気に(笑)。『言の葉の庭』くらいから明快に変わってきたような気がします。あれは2013年ですから、やはり震災の後ですよね。自分の内側を見るよりは、外側を見るキャラクターを描こうというような、変化はあったと思います。
これまでの新海作品は、一貫して「距離」が大きなテーマだったと思います。どうにも縮まらない距離(時間的な、空間的な、社会状況的な)をめぐる切なさと、その感情に寄り添うようなストーリー。でも『君の名は。』は「その距離が埋まる」という予感を感じさせる結末でした。そして『天気の子』は、そこからさらに1歩進んで、主人公の二人の距離がさらに近づく結末だったと言えますよね。
新海:ただ、それで言うと『君の名は。』は、二人の距離がほぼゼロになる話なんですよね。だって、お互いがお互いになってしまうわけだから(笑)。でも、〝同一人物〟になってしまうからこそ、直接対面することは決してできない。無限大に近いと同時に無限大に遠い二人の物語で、実は僕自身、「距離」というモチーフで描きたいものは『君の名は。』で描ききれた気がするんです。ですから今回の『天気の子』では、二人の距離感から生まれるドラマのようなものは、もうほとんど意識もしていなかったですね。
『君の名は。』は究極を言ってしまえば、「会えるか、会えないか」の話だったわけですよね。観客の興味も最後までそこで引っ張ったわけです。二人ははたして会えるのだろうか? と。でも、今回は二人が会えるか会えないかで観客がハラハラする物語ではないと思います。実は、恋愛を描いたつもりもそれほどなくて。もちろん「告白するんだ」とか思春期ならではのドキドキはありますけれど、帆高と陽菜の二人はどちらかというと恋人というより同志のような存在じゃないかっていう気はしますね。同じ困難を一緒に乗り切った同志のような関係。
一緒に世界に立ち向かっていく仲間。
新海:そうですね、はい。「Weathering With You」という英題が意味するのも、まさにそれで。「Weathering =ウェザリング」ってプラモデルの汚し塗装を指す言葉でもありますが、つまり「風化する」みたいな意味です。同時に「乗り越える」という意味があるそうで。それもやは「Weather =気候・天気」という単語から連想されることでしょう。「Weathering With You」は「君と一緒に乗り越える」というタイトルですから、つまり二人の恋愛が成就する物語ではなくて、二人が共に大きな現象を乗り越える物語なんだと思います。
もうひとつ、映画を観ていて、諸星大二郎さんのマンガを想起しました。それは何か、意識していたことがあるのでしょうか?
新海:ああ……なるほど。ただ実際、僕は諸星さんのマンガってほぼ読んだことがなくて。諸星さんと通ずるテイストで言うなら、僕はむしろ星野之宣さんですね。星野さんの作品は大好きで何冊も読んでいます。それと、『海獣の子供』の五十嵐大介さんも好きです。風土や民俗学とSF的な想像力がミックスされた物語。「SF民俗伝奇物」みたいな感じですね。諸星さんもそういう作風だと思いますが、星野さんもそうだし、五十嵐さんもそうで。僕たちが住んでいる風土のかたちを少し教えてくれるような作品が、そもそも好きなんですよ。
『君の名は。』もそうでしたよね。我々の住んでいる現実に限りなく近いけれど、不思議なこともちゃんと起きている世界。もちろん新海監督作品には以前からSF的な要素はありましたが、大きなエンタテイメントに向かおうとする時に、そういう方向により強く舵を切ったのはなぜでしょうか?
新海:僕自身そんなに器用ではなく、いろんなジャンルを自在に操れるタイプの作家ではないので。自分の水源がどこにあるのかと考えて、ある時期から自覚的になったのは、「自分の足元じゃないか」ということです。自分の生まれて育ってきた場所に対する感覚、もっと言えば日本的なもの……といっても「国家制度」としての日本ではなくて、もう少し風土のようなもの……たとえば伝承のようなもの、日本昔話のようなもの。日本昔話のような物語って、なんとなく実感としてしっくりくるんですよ。
「おむすびころりん」という話がありますよね。おにぎりが転がって穴に落ちちゃって、その穴の中にまだ知らないネズミの国がある。そんな世界が、西洋的なドワーフやトロールがいるような世界、剣と魔法の世界よりも、僕には体感として何だかわかるんですよ。地下のネズミの国だったらあるような気がする。おにぎりがそこに導いてくれそうな気がする。あるいは、鳥居をくぐれば何かがありそうな気がする。今はそんな、自分が実感としてわかるその世界で物語を描きたいという気持ちがあるし、ある時点からはっきり、物語を汲み取ってくる場所もそういうところに求めるようになりましたね。
実は、そういう「現実だけど不思議なことが起きている」大きな世界を、新海監督はイメージされているのではないか? と感じたのですが。ある種のクロスオーバーといいますか……。
新海:ああ、『マーベル・ユニバース』みたいな? いや、そこまでではないです(笑)。ただ『君の名は。』も今回の『天気の子』も、少しだけ先の時代の東京を舞台にしているという一応の時代設定は共通だし、『天気の子』を作りながらも「そういえば瀧と三葉は今頃、何をしているのかな」とか想像したりはしていました。
伝奇的・風土的世界とボーイ・ミーツ・ガールのドラマのバランスの取り方が絶妙でした。この組み合わせ方が、これから新海監督の作家性の軸になるのかも? とも思ったりもしました。
新海:どうでしょうね、まだ次作のことは完全に白紙で、次もボーイ・ミーツ・ガールをやるのかどうかも全くわからないです(笑)。ただ、たとえば今回、東京のいろいろな場所をロケハンして、その場所の地理的な成り立ちみたいなものも調べて作ったりしたのですが、年を取ってくると自分の足元がどうなっているのか気になってくるというか(笑)。若い頃は「歴史なんか別に関係ないや」と思っていたけれど、多少そちらに目が向いてきてしまいます。別に「国家」とか「国粋主義」的なものに興味はないですが、お米を食べて幸せとか、神社があるとなんとなくお参りしてしまうとか、そういう感覚は多分、この国に生まれた人の多くが否応なしに共有していることだと思うので。そこをもう少し掘っていきたいという気持ちはありますね。
そういった歴史的な背景や、神秘的な要素も含めた世界の成り立ちのような大きい話と、男の子と女の子の個人的なストーリー。その構図はかつて「セカイ系」とも呼ばれました。でも『天気の子』は明らかに、セカイ系とは似て非なる物語を語っていますよね。
新海:そうですね。セカイ系って定義が曖昧なところもありますけど、一般的には「個人と世界が直接つながって、社会が存在しない」という言われ方を、かつてよくしていたと思います。そういう意味で今回の『天気の子』はある種、典型的なセカイ系のようにも見えるかもしれない。でも今回は、明快に社会がある物語だと思うんですよ。帆高が社会から逸脱していく話、彼が社会のレールから少しずつ外れていってしまう話です。逆に言えば、それは自分たちが生きているベースの社会がなければ描けないことですから。
2000年代初頭にセカイ系的な想像力があったのだとしたら、今は少しかたちが変わってきましたよね。その意味で『天気の子』は、かつて呼ばれていたセカイ系ではないとは思うけれど、でもあの時、僕たちが描こうとしていたことの最新版としての映画にもなっているとは思います。
帆高と陽菜はクライマックスで、「世界」と「自分たち」の狭間である選択をします。でも、その選択は「社会」という現実のなかでなされるということが、物語のなかでしっかりと描かれてて。だからこそ『天気の子』のストーリーやその結末は、様々な反応を呼び起こすのだろうなと思います。
新海:そうですね。あの結末をポジティブな空気で受け取ってもらえるなら嬉しいですが、同時に、やっぱり「許せない」という人も出てくると思いますし。この映画を観客がどういう受け取り方をするのか。そここそが見たくて作った映画でもあります。
インタビュー前半でもおっしゃっていましたが、批判を含め多様な意見が出るであろうことは覚悟しているし、それを楽しみにしている、と。
新海:そのために作ったんだ、という気持ちはありますね。だから、スルーされて何の意見も出てこないのが一番こたえるので(笑)、たくさんの人に観てもらえるといいなと思っています。
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